第4回の放送では、お調子者っていう感じの枝元(山本裕典さん)がシフト替えで遠藤(伊藤淳史さん)の班に入ることになります。この枝元、カウンターでお客様と話しこみ案内が進まず行列が…
「お客様と無駄なことを喋り過ぎる」 という遠藤に
「もう二度と無いかもしれない出会いを大切にする、一期一会ってことです。俺は俺にしか出来ないことをやる、オンリーワンになることが夢なんですから」 とマイペース…
この回は最初、事件の容疑者と同姓同名の客がツアーに予約しており、警察から確認できるまでチェックインを引き延ばすようにと要請される…という少し緊迫した状況で始まります。結局この客は容疑者とは別人と分かりますが、容疑者と疑っていたことを枝元が話してしまったため、「君たちの顔なんて二度と見たくない」と言われてしまい、遠藤も枝元もそれぞれの考え方で悩みます。
そんな中で送り出したこのツアー、飛行機のトラブルで引き返してきてしまいます。当然お客様からは苦情の嵐…
枝元が無駄に?お客様と長話をしていたことがここでは役に立つことに。枝元は1組ごとに旅のプランを聞いていました。結婚30年の記念で旅行に行く年配のご夫婦…初めてエステをするために毎日節約した女性…など。
遠藤と枝元はそれをもとに、1日旅行がおくれた分、お客様の旅行の目的に合ったサービスができるよう調べ、手配してお客様それぞれへの「旅のしおり」として手渡します。
結果としてはドラマなので容疑者と間違えてしまったお客様をはじめ無事再出発していただけて終わります。その後、遠藤と枝元がこう会話しています。
「君さ、おひとりおひとりと話すものもいいけど、これからは勝手しないでちゃんと時間内に…」
「分かってますって、でも俺は変えたくありません。一期一会を大切にするっていう気持ちだけは…」
「変えなくていいんじゃない?多分ね」
接客業という仕事では確かに枝元の言う「一期一会」の思いを大事に仕事が出来ればそれが理想だと思います(^^;)人と接してお客様に喜んでいただくことが喜びになる仕事にたずさわっていれば誰でもそう思ったことはあるはず…
しかし、現実はそう上手くいかないことばかり…
クレームをつけるのが趣味みたいなお客様相手にイライラしたりへこんでしまったり、っていうこともあるし、枝元のように一期一会を大切にと思っていても、現実的にはそれほどひとりひとりのお客様に関わる余裕がなかったり…
私の経験でも遠藤と枝元の葛藤のような経験があります。また動物病院勤務時代の話になりますが、ある時かかってきた電話に応対した時の話です。
年配の女性でしたが、自分の飼っている犬の病状を話し始められたので「診察に行きたい」という内容かと思いました。でも実はその犬はすでに亡くなっていたんです。犬もかなりの高齢で別の病院に治療で通っていたようなのですが、自分がほんの10分ほど外出した間に亡くなってしまったらしいのです。それで側にいてあげられなかったことでその犬が自分のことを恨んでいるのではないか…?と思い悩んでいたそうなんです。
動物に興味の無い人からすれば、そんなことで大げさな!と思われるかもしれませんが、近年「ペットロス」という言葉が認知されつつあるように、ペットを亡くしたことで精神的に治療を必要とするところまでダメージを負う人もいるくらいなのです。
話の内容とこの方の様子からして、簡単に電話を切ってしまえる雰囲気ではありませんでした。それに藁にもすがる思いで電話をかけてきてくださったこの方の気持ちを考えると私自身もいい加減な対応など出来ません
そしてきちんと気持ちをお聞きして対応したのですが…
「たまたま飼い主さん不在の時に亡くなってしまったのは不幸だったかもしれませんが、そのワンちゃんは10年以上にもなる長い間愛情かけて接してくれて、そして亡くなった後までこんなに心配してくれる飼い主の人に恨む気持ちなんか持っている訳ないじゃないですか!」
というお話をして気持ちを落ち着けていただいて電話を切るまでに、30分かかりました(^。^;)
この方にはそれなりにご納得していただけたと思うのですが、実は私が電話をしている途中に上司が通りかかり、長電話をしているのを見て再三「早く電話を切りなさい!」と言われ…電話が終わった後もお叱りを受けました。
でも叱られたことも間違っていないんですよね…ビジネスの電話では「要件は簡潔に」というのが鉄則だと思います。この時は運よく忙しい時間ではなく、周りに他のスタッフも数人いたので私が電話に集中していても差し支えない状況だったため許されましたが、忙しい手の離せない目の前の仕事が積み重なっている時だとなかなかこうは出来ませんでした。
「一期一会の思いを大切に」という思いとは時間的にも矛盾します
これは本当に理想と現実の狭間で葛藤した経験でした。欧米などの大病院では動物医療の現場でも動物医療そのものに従事する獣医師や看護師などだけでなく、飼い主の心のケアを専門とするカウンセラーがスタッフとして常駐していることがあります。そういうシステムが整っていたらこの時の私のケースでも無理なく対応出来たのかもしれませんが、そうでなければどこかで理想と現実の折り合いをつけて仕事をしていくしかないのが現実ですよね、どこで線を引くのかはその場、そのケースによっても違うと思うので難しいです…
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